SUNRISE SUITES KYOTO サンライズスイーツホテル           備忘録(再1)

仕事

京都 東寺の南側で営業する15室の小さなホテル(2017年OPEN)宮大工による檜造りの意匠、庭師による枯山水、素晴らしい伝統職人との数々のコラボ。

ブログを作り変えたので少し加筆したいと思います。
私は京都在住のインテリアデザイナー ホテルデザインも伝統建築も初めてでしたが、ご縁があり身近にいた伝統工芸職人さん達の力をお借りしながらなんとか完成に漕ぎつけました。
コロナ禍が始まる前 京都にホテルがこれほど建っていない6年前の話になります
『予算は一切気にしなくて構いません』『モダンデザインは禁止です』
この二つの言葉からこのプロジェクトは、始まりました。
そして,最後までこの二つの条件は変わりませんでした。
今の時代に予算を気にしなく良い仕事などあるはずもなく。モダンにするのがデザイナーの仕事なのにモダンデザイン禁止とはどういううことだろと思っていると さらに「あれを作って欲しい」と買い取ったばかり物件屋上で、東寺の五重塔を指差しながらお客様から依頼を受けました。私は、何かの比喩かなとぼんやり考えながら「国宝なんですけど」と小声でつぶやきつつのスタートでした。

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基本デザインは、紀元800年前後 東寺五重塔創建時に時代を設定。

外観で問題になるのは色です。見た目の印象を大きく作用する要因ですが
創建時の五重塔が朱色である事は、色々な復元図で目にしていましたが、京都市の景観条例を通ることはありませんでした(初層の御開帳時 内柱ですが剥げ落ちた朱塗りの柱を私自身確認しました) 
京都市には日本一厳しいと言われる景観条例があります。景観条例と総称して呼んでいますが
眺望景観創生条例 自然風景保全条例 風致地区条例 市街地景観整備条例 屋外広告物等に関する条例とたくさんあります。(エリアによってかかる条例が違います)

  • 建物の高さ
  • 建物等のデザイン
  • 眺望景観や借景
  • 屋外広告物
  • 歴史的な町並み

上記が大きな規制範囲ですが、今回はリニュアールなので高さは関係なく、建物等のデザイン(屋根、外壁の色、)屋外広告物が規制の範囲になります。
柱の朱色と漆喰の白が使いたくて京都市とお客様に色々提案したのですが、最終的にはホテルサイドの要望も有り現状東寺に合わせ古色仕上げに落ち着きました。


伝統建築ということで、屋根を作って瓦を乗せたのですが、宮大工の棟梁からの提案で奈良瓦を選びました。日本で和瓦といえば愛知の「三州瓦」淡路の「淡路瓦」島根の「石州瓦」になりますが、伝統工法に向いているのと東寺に合わせた黒い重厚な色が決め手になりました。
軒瓦の文様ですが、創建当時はおそらく単弁もしくは復弁蓮花紋である事は、間違いないのですが、現状の東寺は三つ巴の紋が葺かれています。
五重塔は何回も火災に見舞われためどこかの時代で瓦の紋が変わったのでしょう。現在の五重塔は、寛永21年(1644年)に再建されています。
もし東寺の瓦を見てみたいなら京都国立博物館「平成知新館」で見ることができるかもしれません。
ホテルからも徒歩では無理ですが、近くにありますので是非ご覧ください。
(設計は、谷口吉生氏 ニューヨーク近代美術館新館、東京国立博物館法隆寺宝物館等 設計)


浄瑠璃寺 「蓮花紋」
東寺現状 「三つ巴紋」

余談ですが、平安神宮(京都、岡崎)平安遷都1100年を記念して京都で開催された内国勧業博覧会の目玉として平安時代の大極殿をイメージして作られました。東寺とは同時代だと思えますが、その瓦が緑色だと知っていますか?
平安神宮建設時(1895年)に緑瓦の出土したことにより、緑色の瓦で葺かれることになりました。
近年の研究では軒先と棟瓦のみ緑色ではないかと言われています。

サンライズスイーツホテル 備忘録(再2)
サンライズスイーツホテル 備忘録(再3)
サンライズスイーツホテル 備忘録(まとめ)

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